将棋の寄せの勉強法|初段を目指すなら何を覚えるべき?

「終盤になると、どうやって相手玉を寄せればいいのか分からない」

「詰将棋は解いているのに、実戦になると相手玉を逃がしてしまう」

将棋を指していると、このような悩みを感じることがあります。

私自身、将棋ウォーズで初段を目指していた頃は、終盤になるととにかく王手をかけ続けて、相手玉に逃げられてしまうことがよくありました。

そこで勉強したのが「寄せ」です。

寄せの勉強をしてからは、ただ王手をかけるのではなく、

「どうすれば相手玉を効率よく追い込めるか」

を考えるようになりました。

この記事では、実際に将棋ウォーズ初段になった私の経験をもとに、初段を目指すなら寄せをどのように勉強すればいいのかを紹介します。

結論から言えば、初段を目指す段階では、難しい終盤問題をすべて解けるようになる必要はありません。

寄せの基本パターンを身につけ、それを実戦で使えるようにすることが大切です。


将棋の「寄せ」とは?

まず、「寄せ」とは何なのかを簡単に整理しておきましょう。

将棋の終盤では、単純に相手玉を詰ませればいいというわけではありません。

まだ詰みがない局面で、

  • 相手玉の逃げ道を塞ぐ
  • 詰めろをかける
  • 玉を安全に追い込む
  • 相手の受けを考える
  • 最終的に詰みに持っていく

といった手順を考える必要があります。

このように、相手玉を詰みに近づけていく過程が「寄せ」です。

例えば、相手玉にいきなり王手をかけても、逃げ道がたくさん残っていれば簡単に逃げられてしまいます。

そこで、

「王手をかける前に、逃げ道を塞ぐにはどうすればいいか?」

と考えることが重要になります。

寄せでは「王手=正解」とは限らない

級位者の頃には、終盤になると、

「とりあえず王手!」

と考えてしまうことがあります。

私自身もそうでした。

しかし、王手をかければ必ず相手玉が詰みに近づくとは限りません。

むしろ、何も考えずに王手を続けることで、相手玉を安全な場所へ逃がしてしまうこともあります。

寄せを勉強すると、

「今すぐ王手するより、相手玉の逃げ道を塞いだ方がいいのでは?」

と考えられるようになります。

これが、私が寄せの勉強をして大きく変わった部分です。


初段を目指すなら寄せの何を勉強すればいい?

では、初段を目指す場合、具体的に何を勉強すればいいのでしょうか。

私は、まず次のような基本を身につけることをおすすめします。

1.基本的な詰みの形

まずは、相手玉を最終的に詰ませるための基本的な形です。

これは詰将棋とも関係します。

3手詰などを解いていると、

  • 金や銀で玉の逃げ道を塞ぐ
  • 駒を捨てて玉を誘導する
  • 玉の周囲を駒で囲む

といった基本的な詰みのパターンが身についてきます。

そのため、寄せの勉強をするからといって、詰将棋をやめる必要はありません。

むしろ、

詰将棋で「詰ませる力」を鍛え、寄せの勉強で「詰みに持っていく力」を鍛える

と考えると分かりやすいでしょう。

初段を目指すなら詰将棋は3手詰で十分?実体験からおすすめの勉強法を解説


2.詰めろ

初段を目指すなら、「詰めろ」を理解することも重要です。

詰めろとは、簡単に言えば、

次に詰ませるぞ、という状態

です。

実戦では、毎回すぐに詰みを見つけられるわけではありません。

そこで、

「今すぐ詰まないけれど、次に詰む形を作る」

という考え方が重要になります。

王手をかけ続けるだけでなく、相手玉に詰めろをかける。

この感覚を身につけるだけでも、終盤の指し方はかなり変わってきます。


3.玉の逃げ道を塞ぐ

私が寄せの勉強をして特に意識するようになったのが、玉を包むように寄せることです。

以前は、相手玉に王手をかけて逃げられると、また王手をかけるということを繰り返していました。

しかし、それではなかなか相手玉を捕まえられません。

そこで、

「相手玉がどこへ逃げられるのか」

を見るようになりました。

そして、その逃げ道を少しずつ塞いでいきます。

イメージとしては、相手玉を一方向から追いかけるというより、周囲から包み込んでいくような感覚です。

この感覚は、実戦の寄せを考えるうえでかなり役立ちました。


4.囲いを崩す手筋

相手玉が美濃囲いや矢倉などの囲いに入っている場合、囲いによって玉の逃げ道が決まっています。

そのため、

「この囲いはどこから攻めると崩しやすいのか」

を知っておくことも重要です。

特に自分がよく対戦する囲いについては、基本的な崩し方を覚えておくと実戦で使いやすくなります。

例えば、美濃囲いを相手にすることが多いなら、美濃囲いを崩す手筋をまとめて勉強するのもおすすめです。

『美濃囲いの手筋200』レビュー|美濃囲い崩しを体系的に学ぶなら今でもおすすめの一冊


5.必至

必至も寄せを勉強するうえで重要な要素です。

私自身、『寄せの手筋200』を使って必至について勉強しました。

ただし、初段を目指す段階で、必至問題を難しいところまで完璧に解けるようになる必要があるとは考えていません。

まずは、

「こういう形に持ち込めば、相手はどう受けても詰みを避けられない」

という考え方を知ることが大切です。


詰将棋と寄せの勉強は何が違う?

ここは、寄せの勉強を始めるときに知っておきたいポイントです。

詰将棋では、

「この局面は詰みます」

ということが最初から分かっています。

そのため、詰み筋を探すことに集中できます。

一方、実戦の終盤では、

「そもそも、まだ詰まない」

という局面がたくさんあります。

その状態から、

  • どこへ逃げられるか
  • どこに駒を打つか
  • どの駒を攻めに使うか
  • 王手するべきか
  • 詰めろをかけるべきか
  • 相手の受けをどうするか

を考えなければなりません。

つまり、

詰将棋は「詰みを見つける勉強」

であり、

寄せは「詰みに持っていくための考え方を学ぶ勉強」

と考えると分かりやすいと思います。

もちろん両者は完全に別物ではありません。

詰将棋を解くことで詰みの形が分かるようになるため、寄せにも役立ちます。

ただ、実戦で「相手玉をどうやって詰みに持っていくか」を考えるには、寄せの勉強も必要です。


私が初段になるまでにやった寄せの勉強

ここからは、私自身が将棋ウォーズ初段になるまでにやった勉強について紹介します。

私が寄せの勉強を始めたのは、将棋ウォーズで2~3級くらいの頃です。

当時は終盤になると、

「とにかく王手をかける」

という指し方になりがちでした。

王手をかけて相手玉を追いかけても、逃げられる。

また王手する。

そしてまた逃げられる。

そんなことがよくありました。

そこで、『寄せの手筋200』などを使って寄せを勉強しました。

『寄せの手筋200』は2周ほど取り組んだ

『寄せの手筋200』は、最初から最後まで一通り解きました。

その後、もう一度取り組んで、全部で2周くらいです。

1日に取り組む量は、おおよそ20問ほどでした。

ただし、1問に何十分も粘るようなやり方ではありません。

少し考えて分からなければ、答えを見ていました。

そして、答えを見た後に、

「なるほど、こういう寄せなのか」

と、もう一度頭の中で確認するようにしていました。

盤は使っていません。

また、答えを丸暗記しようとしていたわけでもありません。

この点は、これから『寄せの手筋200』を勉強する人にも参考になると思います。


『寄せの手筋200』は暗記した方がいい?

「寄せの手筋200 暗記」という検索をする人もいると思います。

実際、寄せの手筋を勉強していると、

「200問を全部暗記した方がいいの?」

と考えるかもしれません。

私は、初段を目指すなら、すべてを丸暗記する必要はないと思っています。

私自身も暗記しようとはしていませんでした。

大切なのは、

「この局面では、こういう寄せ方がある」

というパターンを知ることです。

例えば、問題を見てすぐに答えが出てこなかったとしても、答えを見て、

「こうやって玉の逃げ道を塞ぐのか」

「ここで王手するのではなく、こちらから寄せるのか」

と理解できれば、それだけでも十分勉強になります。

『寄せの手筋200』には、初段を目指す段階では難しく感じる問題もあります。

そうした問題については、無理に自力で解けるようになる必要はありません。

答えを見て、「こういう寄せもあるんだな」と確認するくらいでもいいと思います。

もちろん、何度も繰り返していれば、結果的に似た形が実戦で出てきたときに自然と思い出せるようになります。

それで十分です。

『寄せの手筋200』レビュー|初段を目指す人におすすめの終盤力を鍛える一冊


寄せを勉強して実戦で何が変わった?

寄せの勉強をして一番変わったのは、考え方です。

以前は、

「王手できるから王手する」

ということが多かったのですが、少しずつ、

「どう寄せれば相手玉を逃がさずに済むだろう?」

と考えるようになりました。

特に意識するようになったのが、

玉を包むように寄せる

ということです。

相手玉を一方向から追いかけるのではなく、逃げ道を塞ぎながら少しずつ追い込んでいく。

これを意識するだけでも、以前より相手玉を逃がしにくくなりました。

もちろん、これですべての終盤がうまくいくようになったわけではありません。

それでも、少なくとも、

「何も考えずに王手を繰り返す」

ということは減りました。

そして、

「今は王手よりも、逃げ道を塞ぐ手を指した方がいいのでは?」

と考えられるようになりました。

これが、私にとって寄せの勉強で得られた大きな変化です。


初段になった今でも寄せは難しい

ここは、初段を目指している方にぜひ伝えておきたいところです。

私は現在、将棋ウォーズ初段より上の棋力になっていますが、寄せを完璧にできるわけではありません。

特に今でも苦手なのが、速度計算です。

相手の攻めと自分の攻めを比較して、

「ここは受けるべきなのか、それとも攻め合った方がいいのか」

という判断は難しいと感じます。

受ければ安全になるとは限りません。

場合によっては、受けすぎることで相手の攻めを速めてしまうこともあります。

この見極めは、今でも難しいところです。

だからこそ、

「寄せの勉強をすれば終盤で迷わなくなる」

と考える必要はありません。

むしろ、基本的な寄せのパターンを身につけたうえで、実戦を通して少しずつ判断力を磨いていくものだと思います。


寄せの勉強におすすめの棋書

ここまで紹介したように、初段を目指すなら、まずは寄せの基本パターンを学ぶことをおすすめします。

私が初段になるまでに使ったものや、Shogi Studyで紹介している棋書の中から選ぶなら、次のような本があります。

『寄せの手筋200』

初段を目指す人が寄せを勉強するなら、まず候補にしたい一冊です。

詰めろ、必至、玉の逃げ道を塞ぐ手筋など、実戦で役立つ寄せのパターンを学べます。

私自身もこの本を2周ほど取り組みました。

難しい問題まで完璧に解けるようにする必要はなく、分からなければ答えを見て、

「こういう寄せ方があるんだ」

と確認しながら進めてもいいと思います。

『寄せの手筋200』レビュー|初段を目指す人におすすめの終盤力を鍛える一冊


『美濃囲いの手筋200』

美濃囲いを相手にすることが多い人には、囲い崩しを学ぶ教材として役立ちます。

特定の囲いに対する寄せ方を覚えておくと、実戦でも使いやすくなります。

『美濃囲いの手筋200』レビュー|美濃囲い崩しを体系的に学ぶなら今でもおすすめの一冊


『詰めろ将棋』

詰めろをかける感覚を身につけたい人に向いています。

私自身も初段になるまでの勉強で取り組みました。

詰みだけを見るのではなく、

「次にどうすれば詰ませられるのか」

という考え方を身につけるのに役立ちます。

『詰めろ将棋』レビュー|詰めろ感覚を鍛えたい人におすすめの一冊


『勝つための終盤感覚』

寄せそのものの手筋だけでなく、終盤でどのように考えるのかを学びたい場合に候補になります。

特に、終盤の考え方をもう一段深めたい人に向いています。

『勝つための終盤感覚』レビュー|終盤の考え方を体系的に学べる一冊


寄せの勉強は実戦と組み合わせる

寄せの本を読んで、

「なるほど、寄せにはこういう手筋があるのか」

と理解しただけでは、実戦で使えるとは限りません。

実際に将棋を指して、終盤になったら、

「相手玉の逃げ道はどこだろう?」

「今すぐ王手する必要があるだろうか?」

「詰めろをかけられないだろうか?」

と考えてみることが大切です。

最初から正解を指せなくても問題ありません。

実戦で考えてみることで、

「この前、本で見た寄せに似ている」

という場面が少しずつ出てきます。

そうやって、棋書で覚えたパターンと実戦の局面がつながっていきます。

私の場合も、寄せの勉強だけをしていたわけではありません。

初段になるまでの勉強は、

3手詰 → 手筋 → 寄せ → 実戦

という流れを中心にしていました。

寄せだけを集中的に勉強するというより、終盤力を全体的に伸ばしていくイメージです。

初段になるために毎日どれくらい勉強すればいい?実体験からおすすめの勉強時間を解説


初段を目指すなら、寄せはどこまで勉強すればいい?

では、結局どこまで寄せを勉強すればいいのでしょうか。

私の考えは、

寄せの基本パターンを覚えて、実戦で使えるようになれば十分

です。

『寄せの手筋200』を使うのであれば、200問すべてを完璧に暗記する必要はありません。

簡単な問題は自分で考えて解く。

少し難しい問題は答えを見て理解する。

さらに難しい問題は、

「こういう寄せ方もあるんだな」

と知識として確認する。

このくらいでもいいと思います。

初段を目指している段階では、難しい終盤問題を何時間もかけて解くより、

基本的な寄せのパターンを覚えて、それを実戦で使うこと

の方が重要だと私は考えています。


まとめ:初段を目指すなら「王手する」から「寄せる」へ

寄せの勉強をすると、終盤の考え方が変わります。

私自身、2~3級の頃は相手玉に王手をかけ続けて逃げられることがよくありました。

しかし、寄せを勉強することで、

「とりあえず王手する」

のではなく、

「どうすれば相手玉を効率よく追い込めるか」

を考えるようになりました。

特に意識するようになったのが、

玉を包むように寄せる

という考え方です。

初段を目指すなら、難しい寄せをすべて覚える必要はありません。

まずは、

  • 基本的な詰みの形
  • 詰めろ
  • 玉の逃げ道を塞ぐ手筋
  • 囲い崩し
  • 必至の基本

などを勉強してみてください。

そして、『寄せの手筋200』のような棋書を使う場合も、すべてを丸暗記しようとする必要はありません。

分からなければ答えを見て、「こういう寄せ方がある」と覚えていく。

そして、実戦で相手玉を見ながら、

「今は王手するべきか?」

「逃げ道を塞ぐべきか?」

「詰めろをかけられないか?」

と考えてみる。

この繰り返しで、少しずつ実戦の寄せが身についていくと思います。

寄せは、勉強したからといってすぐに完璧になるものではありません。

私自身、初段になった今でも速度計算や、攻めるべきか受けるべきかの判断には難しさを感じています。

だからこそ、初段を目指す段階では、「完璧な終盤力」を目指すのではなく、まず基本的な寄せのパターンを身につけることをおすすめします。

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