四間飛車の定跡書は数多くありますが、「なぜその指し方をするのか」という考え方まで体系的に解説した本は意外と多くありません。
『四間飛車上達法』は、細かい定跡を覚えることよりも、四間飛車を指すうえで重要な考え方を身につけることを目的とした一冊です。
実際に読んでみると、「定跡を外れたらどう指せばいいかわからない」という悩みを解決してくれる内容が多く、私自身も新しい発見がたくさんありました。
この記事では、本書の内容や実際に読んだ感想、どんな人におすすめなのかを紹介します。
本の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ページ数 | 232ページ |
| 発売日 | 2017年 |
| 対象 | 初級~初段程度 |
| おすすめの人 | 四間飛車を指し始めた人、定跡を覚えた後に指し方が分からなくなる人 |
この本で学べること
本書では、次のような内容を学べます。
- 美濃囲いの考え方
- 対居飛車急戦での受け方
- 持久戦で主導権を握る考え方
- 「攻め」とは何か
- 終盤で勝ち切るための考え方
- 四間飛車全体の指針
定跡を暗記する本というより、「四間飛車らしい指し方」を理解するための本だと感じました。
実際に読んだ感想
美濃囲いに対する考え方が印象的だった
本書では「振り飛車は飛車を振る戦法ではなく、美濃囲い戦法である」という趣旨の説明があります。
最初は少し驚きましたが、読んでいくと非常に納得できました。
振り飛車は、相手の飛車や角の利きから離れた場所に、美濃囲いという堅い囲いを築けることが大きな強みです。
実際に対局していても、居飛車の囲いより安心感がある場面が多く、「振り飛車=美濃囲い戦法」という考え方は非常に印象に残りました。
また、船囲いについても「状況に応じて美濃囲いや穴熊へ発展できる囲い」という視点で解説されており、単なる急戦用の囲いとしてではなく柔軟な囲いとして理解できました。
攻めとは「持ち駒を増やすこと」という考え方
本書で特に印象に残ったのが、「攻め」の定義です。
将棋では攻めるというと、駒を前に進めて相手玉へ迫ることをイメージしがちです。
しかし本書では、持ち駒を増やすことも攻めであると説明されています。
持ち駒は好きな場所へ打てるため、非常に価値が高い駒です。
そのため、急戦では受けに徹して駒交換を繰り返していても、損をせずに持ち駒を増やせているなら、それは将来の攻めにつながっているという考え方になります。
この発想はこれまで持っておらず、とても参考になりました。
対抗形は攻めと守りのエリアで考える
対抗形では盤面を攻めのエリアと守りのエリアに分けて考えるという説明も、とても分かりやすく感じました。
どこで戦うべきなのかが整理されるため、漠然と指してしまうことが減りそうです。
定跡だけでは身につきにくい「局面を見る視点」を学べるのは、本書の大きな魅力だと思います。
持久戦では主導権が重要
持久戦では「主導権」を握ることが重要だと解説されています。
ここでいう主導権とは、「先に攻めを仕掛ける権利」を持っている状態です。
相手だけが攻めを開始できる状況になると、自分にとって都合の悪いタイミングで戦いが始まり、不利になりやすくなります。
そのため、漫然と駒組みを続けるだけでは、気付かないうちに不利になっていることもあります。
この考え方は、定跡を覚えるだけでは身につきにくく、とても勉強になりました。
終盤の考え方も参考になる
終盤についても多くのページが割かれています。
終盤は一手争いになるため、少し悪い手を指いただけで形勢がひっくり返ることがあります。
その中でも特に重要なのが「攻防手」です。
攻防手は攻めと受けを同時に行えるため、一度に二手指したような価値があると説明されています。
終盤力を上げたい人にとっても参考になる内容でした。
良かった点
- 四間飛車の考え方を体系的に学べる
- 急戦・持久戦・終盤まで幅広く扱っている
- 定跡を外れたときの指針になる
- 四間飛車だけでなく将棋全般にも役立つ考え方が多い
気になった点
発売から年数が経っているため、掲載されている定跡がすべて最新というわけではありません。
最新の研究を知りたい場合は、新しい定跡書や棋書と併用するのがおすすめです。
ただし、本書の価値は定跡そのものではなく「考え方」にあるため、この点は大きな欠点ではないと感じました。
『四間飛車を指しこなす本』との違い
『四間飛車を指しこなす本①〜③』は、具体的な変化や定跡を詳しく学ぶための本です。
一方、『四間飛車上達法』は、細かい手順よりも「なぜそのように指すのか」という考え方に重点が置かれています。
そのため、
- 定跡を覚えたけれど途中で分からなくなる
- 自分で考えて指せるようになりたい
という人には、こちらの本の方が役立つと感じました。
『初段になれるかな大会議』との比較
『初段になれるかな大会議』にも将棋の考え方は紹介されています。
しかし、本書の方が四間飛車に特化しており、内容もより具体的かつ体系的です。
四間飛車党であれば、こちらの方が実戦ですぐ役立つ場面が多いと思います。
この本はどんな人におすすめ?
この本は次のような人におすすめです。
- 四間飛車を指し始めた人
- 定跡を覚えても途中で迷ってしまう人
- 四間飛車の考え方を理解したい人
- 自分で考えて指せるようになりたい人
この本を読むコツ
四間飛車を始めたばかりの人は、最初からすべて理解しようとせず、一度ざっと読んで全体像をつかむだけでも十分価値があります。
その後、定跡書や実戦を経験してから読み返すと、「こういうことだったのか」と理解できる内容が多くありました。
何度も読み返したくなる一冊です。
結論|四間飛車を長く指すなら一度は読んでおきたい
『四間飛車上達法』は、定跡を覚えるための本というより、「四間飛車の考え方」を身につけるための本です。
細かい変化を暗記するだけでは対応できない場面でも、本書で紹介されている考え方を知っていると、自分で判断しやすくなります。
定跡書は数多くありますが、「なぜその指し方をするのか」をここまで体系的に解説した本は多くありません。
四間飛車をこれから長く指していきたい人には、ぜひ一度読んでほしいおすすめの一冊です。
ただし、初段を目指すのであれば、戦法だけを勉強しても十分ではありません。 私自身も、初段になるまでは手筋や詰将棋、寄せなどの基礎を優先して勉強しました。

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