「終盤になると、何を考えて指せばいいのか分からない」
将棋を指していると、そんな悩みを感じることはないでしょうか。
私自身、これまで詰将棋や寄せの勉強をしてきましたが、実戦の終盤では「とにかく相手の攻めを受けなければ」と考えてしまうことがありました。
そんな自分の終盤の考え方を見直すきっかけになったのが、今回紹介する『勝つための終盤感覚』です。
実際に約1週間かけて1周読んでみたところ、特に印象に残ったのが「速度計算」という考え方でした。
終盤では、ただ自玉を安全にするだけではありません。
「自玉が詰まされる前に、相手玉を詰ませられるか」
という視点で局面を見ることが重要です。
本記事では、『勝つための終盤感覚』を実際に読んだ感想や、本書から学んだ終盤の考え方を紹介します。
『勝つための終盤感覚』を読んだ感想
私の評価は5点満点中4点です。
約1週間で1周しました。
本書は終盤の専門的な考え方を扱っていますが、難しい理論をただ並べているわけではありません。
終盤で重要になる考え方を一つずつ整理して解説しているため、初級者でも比較的読みやすい本だと感じました。
特に良かったのは、単純に「この問題の答えはこの手」という形ではなく、
「終盤では何を考えて指せばいいのか」
という部分を学べることです。
詰将棋や寄せの問題集とは、少し違ったタイプの本だと感じました。
『寄せの手筋200』レビュー|初段を目指す人におすすめの終盤力を鍛える一冊
『勝つための終盤感覚』はどんな本?
『勝つための終盤感覚』は、終盤の局面で必要になる考え方を体系的に学ぶための本です。
終盤では、
- 詰めろ
- 必至
- ゼット
- 玉の逃げ方
- 速度計算
- 囲いの攻略
- 相手の攻めへの対応
など、さまざまな要素を考える必要があります。
本書では、こうした終盤の考え方について、
「なぜそう考えるのか」
という部分を中心に解説しています。
そのため、単純に終盤の手筋を覚えるというより、
「終盤の局面をどう判断すればいいのか」
を学びたい人に向いている本だと思います。
本書を読んで特に印象に残った「速度計算」
本書を読んで特に印象に残ったのが、速度計算です。
終盤になると、お互いに相手玉を攻める展開になることがあります。
このときに重要なのは、
どちらが先に相手玉を詰ませられるのか
ということです。
例えば、自分の玉が攻められているからといって、必ずしも相手の攻めを完全に受け切る必要があるとは限りません。
相手玉を先に詰ませられるのであれば、
自玉が詰まされる前に相手玉を詰ませればいい
からです。
逆に、自分の玉のほうが先に詰んでしまうのであれば、何らかの方法で詰まされるまでの手数を稼ぐ必要があります。
この「相手玉との競争」という視点は、終盤を考えるうえで非常に重要だと感じました。
「相手の攻めを全部受け切る」という考え方を見直した
今回、本書を読んで自分自身の終盤の弱点にも気づきました。
私はこれまで、
「相手に攻められたら、相手の攻めが切れるまでしっかり受けよう」
と考えてしまうことがありました。
もちろん、自玉を守ることは大切です。
しかし、必要以上に受けに回ってしまうと、その間に相手玉を攻めるチャンスを失ってしまいます。
結果として、
自分から相手に攻める機会を与えてしまう
こともあります。
本書を読んで改めて感じたのは、
将棋は自玉が詰まされる前に相手玉を詰ませればいい
という、非常にシンプルな考え方です。
相手の攻めを完全に受け切る必要はありません。
場合によっては、
相手の攻めを一手、二手遅らせるだけで十分
ということがあります。
その間にこちらが相手玉を寄せることができれば、結果的には勝ちになります。
この考え方は、今後の実戦でもかなり意識していきたいと思いました。
「一手の延命」の重要性にも気づいた
本書を読んで印象に残ったもう一つのポイントが、自玉を一手でも長く生き延びさせることです。
例えば美濃囲いでは、攻められたときに玉を早逃げすることで詰みを回避できる場合があります。
一見すると、
「もう詰めろだから受けるしかない」
と思ってしまう局面でも、玉を逃がすことで一手分の余裕が生まれることがあります。
この一手が非常に重要です。
終盤では、
「自玉が安全か危険か」だけを見るのではなく、「あと何手生きられるのか」
という視点も必要になります。
相手玉を詰ませるまであと数手かかるとしても、その間に自玉が詰まされなければ勝負になります。
逆に、自玉が一手早く詰んでしまうなら、その一手をどうやって稼ぐかを考えなければなりません。
この感覚は、実戦を勝ち切るうえで非常に重要だと感じました。
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駒別ゼットという考え方
本書では、終盤で重要になるゼットについても扱われています。
ゼットとは、簡単に言えば、
相手に詰まされる可能性がない状態
のことです。
その中でも印象的だったのが、駒別ゼットという考え方です。
例えば、
「この駒を相手に渡さなければ自玉は詰まない」
という状況があります。
このような場合、単純に「相手から攻められているから受ける」と考えるのではなく、
相手に特定の駒を渡さないこと
を意識して指すことができます。
終盤では、相手が何を狙っているのかを見るだけでなく、
「相手はどの駒があれば自玉を詰ませられるのか?」
と考えることも重要なのだと分かりました。
相手の「打ちたい場所」を消す
もう一つ、実戦で活用したいと感じたのが、
相手が駒を打ちたい場所に、こちらから駒を打ってしまう
という考え方です。
終盤では、相手の持ち駒を使った攻めが非常に強力になります。
だからこそ、
「相手が次にどこへ駒を打ちたいのか」
を考えることが重要です。
そして、その場所にこちらから駒を打つことで、相手の攻めを防ぐことができます。
単純に「受けの手を探す」のではなく、
相手の狙いそのものを消す
という発想です。
これも、本書を読んでから実戦で意識してみたいと思ったポイントです。
囲いの攻略方法も学べる
本書では、終盤の考え方だけでなく、囲いをどのように攻略するのかについても解説されています。
例えば、
- 矢倉
- 美濃囲い
- 穴熊
- 中住居
など、それぞれの囲いに対して、
どこを狙うのが急所なのか
という考え方を学べます。
単純に「この囲いにはこの手筋」と暗記するのではなく、
「なぜそこを攻めるのか」
を理解するための内容になっています。
終盤の手筋を覚えるだけでなく、相手玉の形を見て「どこを狙えばいいのか」を考える力をつけたい人にも役立つでしょう。
『勝つための終盤感覚』のメリット
① 終盤の考え方を体系的に学べる
本書の最大のメリットだと思います。
終盤には、
- 詰めろ
- 必至
- ゼット
- 速度計算
- 玉の逃げ方
など、さまざまな考え方があります。
それらをバラバラに勉強するのではなく、終盤全体を体系的に学べるのが良いところです。
② 「終盤で何を考えるか」が分かる
実戦で、
「この局面では何を考えればいいの?」
となってしまう人に向いています。
本書を読むことで、
自玉だけを見るのではなく、相手玉との速度を比較する
という考え方を身につけられます。
③ 実戦での判断が変わる
私自身、本書を読む前と読んだ後では、終盤を見るときの視点が少し変わりました。
以前は、
「相手の攻めをどう受けよう?」
と考えることが多かったのですが、
これからは、
「相手玉を先に詰ませられないか?」
という視点も持ちたいと思っています。
このように、実際の対局での考え方を変えるきっかけになるのは、本書の大きな魅力です。
『勝つための終盤感覚』のデメリット
一方で、気になった点もあります。
それは、
理論的な解説が中心で、問題を大量に解くタイプの本ではない
ことです。
本書を読めば終盤の考え方は理解できますが、
「何十問、何百問も問題を解いて終盤力を鍛えたい」
という人には、少し物足りなく感じるかもしれません。
そのため、本書だけですべての終盤力を鍛えようとするより、
本書で考え方を学んだあと、問題集で実戦的な練習をする
という使い方がおすすめです。
『寄せの手筋200』との違い
終盤の勉強をするなら、『寄せの手筋200』も有名です。
この2冊は似ているようで、役割が少し違います。
| 勝つための終盤感覚 | 寄せの手筋200 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 終盤の考え方を学ぶ | 寄せの問題を解く |
| 内容 | 理論・考え方 | 実戦的な問題 |
| 速度計算 | 学べる | メインではない |
| 問題演習 | 少なめ | 多い |
| 向いている人 | 終盤の考え方を整理したい人 | 寄せの力を鍛えたい人 |
私は、
『勝つための終盤感覚』で終盤の考え方を学び、『寄せの手筋200』で問題を解いて定着させる
という組み合わせがおすすめです。
特に「速度計算という考え方は分かったけれど、実戦で使えない」という状態にならないためにも、問題演習を組み合わせると良いでしょう。
『詰めろ将棋』との違い
以前レビューした『詰めろ将棋』とも役割が異なります。
『詰めろ将棋』は、
- 詰めろ
- 詰めろ逃れ
などの問題を解きながら、詰めろに対する感覚を鍛えるタイプの本です。
一方、『勝つための終盤感覚』は、
詰めろだけに限定せず、終盤全体をどのように考えるかを学ぶ本
です。
そのため、
理論を学ぶなら『勝つための終盤感覚』、問題を解くなら『詰めろ将棋』
という使い分けができます。
『詰めろ将棋』レビュー|詰めろ感覚を鍛えたい人におすすめの一冊
『勝つための終盤感覚』はこんな人におすすめ
終盤で何を考えればいいのか分からない人
「終盤になったら、とりあえず王手を考える」
「相手から攻められたら、とりあえず受ける」
という状態から一歩進みたい人におすすめです。
終盤で逆転されることが多い人
序盤・中盤では優勢なのに、終盤になると逆転されてしまう。
そんな人にも向いています。
終盤の具体的な手筋だけでなく、
「終盤で何を優先して考えるべきか」
を学べるからです。
速度計算を理解したい人
特におすすめしたいのが、
「自玉と相手玉、どちらが先に詰むのか?」
という考え方を身につけたい人です。
終盤の攻め合いで、どちらを優先して攻めるべきなのか判断するための基本的な考え方になります。
初段を目指している人
私自身、初段を目指す過程では詰将棋や手筋、寄せの勉強を重視してきました。
その経験から考えても、初段を目指すなら終盤力は非常に重要です。
将棋初心者が初段になるまでの勉強法|初心者からのおすすめロードマップ
本書は、単に「詰みを見つける力」だけではなく、
終盤の局面でどのように判断するのか
を学べるので、初段を目指している人にもおすすめできます。
逆におすすめしにくい人
序盤・中盤を勉強したい人
当然ですが、本書は終盤の本です。
序盤の定跡や中盤の駒組みを勉強したい人には向いていません。
問題をたくさん解きたい人
「解説を読むより、とにかく問題を解きたい」という人には、問題集タイプの本のほうが向いています。
その場合は、『寄せの手筋200』などと組み合わせるのがおすすめです。
初段を目指すなら読む価値はある?
私は読む価値は十分にあると思います。
ただし、本書だけを何度も繰り返して終盤力を完成させるというより、
終盤の考え方を理解するための一冊
として使うのがおすすめです。
例えば、
3手詰で詰みを見つける力を鍛える
↓
『勝つための終盤感覚』で終盤の考え方を学ぶ
↓
『寄せの手筋200』で寄せの問題を解く
↓
実戦で使ってみる
という流れです。
初段を目指すなら詰将棋は3手詰で十分?実体験からおすすめの勉強法を解説
このように役割を分ければ、かなり効果的に終盤を勉強できると思います。
まとめ|終盤の「考え方」を学びたいならおすすめ
『勝つための終盤感覚』を実際に1週間読んでみて、私が特に勉強になったのは速度計算でした。
終盤では、
「相手の攻めを全部受け切らなければならない」
と考えるのではなく、
「自玉が詰まされる前に、相手玉を詰ませられるか」
という視点が重要です。
また、
- 一手でも自玉を延命する
- 玉を早逃げする
- 相手に渡してはいけない駒を意識する
- 相手が打ちたい場所を消す
といった考え方も、実戦で活用したいと感じました。
私自身、これまで「相手の攻めをしっかり受け切る」ことを意識しすぎていたので、本書を読んだことで終盤の考え方を見直すきっかけになりました。
『勝つための終盤感覚』は、終盤の問題を大量に解くための本ではありません。
むしろ、
「終盤では何を考えて指せばいいのか?」
を体系的に学ぶための本です。
そのため、終盤の考え方がまだ整理できていない人や、初段を目指して終盤力を伸ばしたい人には、かなりおすすめできます。
そして、本書で理論を学んだ後は、『寄せの手筋200』や『詰めろ将棋』などの問題集で実際に問題を解くと、さらに実戦で使える終盤力につながるでしょう。

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