『上達するヒント』レビュー|定跡が終わってから何を指せばいいのかが分かる一冊

将棋を勉強していると、手筋や定跡は覚えたものの、

「ここから何を指せばいいんだろう?」

と悩む場面はありませんか。

私自身も将棋ウォーズ初段になるまでは、定跡を外れた瞬間に方針が分からなくなることがよくありました。

そんな悩みを解決してくれたのが、羽生善治九段の『上達するヒント』です。

この本は具体的な手順を覚える本ではありません。

「局面をどう考え、どんな方針で指すか」を学べる数少ない棋書です。

実際に読んでからは対局中の考え方が大きく変わり、終盤だけでなく中盤でも以前より迷わず指せるようになりました。

今回は実際に読んだ感想を交えながらレビューします。


本の概要

項目内容
タイトル上達するヒント
著者羽生善治
発売年2005年
ページ数206ページ
おすすめ度9.5/10
初心者向け★★★☆☆
初段を目指す人★★★★★

本書は戦法や手筋を解説する本ではありません。

中盤でどのような方針を立てるべきか、形勢判断は何を基準に行うのかなど、「考え方」を中心に解説されています。

内容は以下の13章で構成されています。

  • 基本方針と形勢判断
  • 構想について
  • 歩の下に駒を進める
  • 駒がぶつかったとき
  • 位取りについて
  • 主戦場について
  • 王の安全度について
  • さばきについて
  • 厚みについて
  • スピードについて
  • 攻めの継続
  • 進展性について
  • 陣形について

どれも実戦で頻繁に登場するテーマばかりです。


この本で学べること

この本を一言で表すなら、

「何を指すか」ではなく「何を目指すか」を学ぶ本

です。

手筋や定跡の本では

「この局面ではこの手」

を学びます。

一方、この本では

  • どこを主戦場にするか
  • 攻めるべきか待つべきか
  • 駒の働きをどう改善するか
  • 玉の安全度をどう考えるか

など、対局全体の方針を決めるための考え方が学べます。

実戦では本に載っている局面になることはほとんどありません。

だからこそ、このような考え方を知っているかどうかで、中盤以降の指し手が大きく変わります。


実際に読んだ感想

定跡を外れても迷いにくくなった

この本を読んで一番良かったのは、

定跡が終わった後でも方針を立てやすくなったこと

です。

以前は、

「すぐに攻め筋が見つからない」

というだけで悩んでしまうことがありました。

しかし本書を読んでからは、

「相手にも攻めがないなら、自分だけ少しずつ良い形を作ればいい」

という考え方が身につきました。

実戦でも、お互いに決定的な攻めがない局面で、こちらだけ囲いを発展させながら待つことで自然に有利になった対局がありました。

将棋は一手で勝負が決まるゲームではありません。

少しずつ局面を改善していくことが大切だという考え方は、今でも意識しています。


主戦場を切り替える発想が身についた

本書では主戦場についても詳しく解説されています。

以前の私は、一度決めた攻め筋にこだわってしまうことがありました。

しかし、この本を読んでからは

「盤全体を見て、もっと攻めやすい場所はないか」

を考えるようになりました。

実際、美濃囲いを横から攻めていて攻めあぐねた局面で、端攻めへ切り替えたところ突破口が見つかったことがあります。

一つの攻め方に固執しないことの大切さを実感しました。


相手の攻めの速さを考えるようになった

本書ではスピードについても多く触れられています。

実戦では

「こちらが攻めたい」

という気持ちだけで攻めてしまいがちです。

しかし本当に大切なのは、

相手の攻めがどれくらい速いか

を考えることです。

特に対穴熊では、

急いで攻めた結果、攻めが切れて逆転負けすることがありました。

逆に、相手に速い攻めがないと判断した局面では、焦らず戦力を整えてから攻めることで勝てた対局もあります。


駒の働きを重視するようになった

この本を読んでからは、

駒得・駒損だけではなく、

駒が働いているか

を意識するようになりました。

多少駒損になっても、

  • 相手の駒を遊ばせる
  • 自分の駒を活用する

ことができれば十分戦える局面があります。

特に振り飛車では非常に重要な考え方だと感じました。


自陣に駒を埋めるという発想も身についた

以前は、

「攻められたら攻め返す」

ことばかり考えていました。

しかし本書を読んでからは、

攻め合いで負けそうなら、

まず自陣に駒を埋めて相手の攻めを遅らせる

という選択肢も持てるようになりました。

実戦でも、自陣をしっかり受けて相手の攻めが切れたところで反撃し、逆転できた対局があります。

こうした考え方は手筋の本だけではなかなか身につかないと感じました。


良かった点

定跡や手筋だけでは学べない内容が学べる

他の棋書では

「この局面ならこの手」

という解説が中心です。

一方、本書では

「なぜその方針になるのか」

という部分まで学べます。


居飛車・振り飛車を問わず役立つ

戦法に依存しない内容なので、

居飛車党でも振り飛車党でも読めます。

一冊読めば長く役立つ内容です。


何度読んでも新しい発見がある

実戦経験が増えるほど、

「この局面は本で読んだ内容だ」

と思う場面が増えてきます。

一度読んで終わりではなく、何度も読み返したい棋書です。


気になった点

唯一気になったのは、

すぐに強くなるタイプの本ではないこと

です。

手筋の本のように

「読めば翌日から使える」

という内容ではありません。

実戦を重ねながら少しずつ理解が深まる本です。

そのため、一度読んで終わりではなく、定期的に読み返すことをおすすめします。


他の棋書との比較

四間飛車上達法 レビュー|定跡より「考え方」を学びたい人におすすめの一冊

『四間飛車上達法』は四間飛車を指すための考え方が中心ですが、本書は居飛車・振り飛車を問わず役立ちます。

『将棋・ひと目の手筋』レビュー|初段を目指すなら最初に読みたい手筋本

『ひと目の手筋』は「手」を覚える本です。

一方、『上達するヒント』は

「いつその手を使うべきか」

を考えるための本です。

個人的には、

手筋を覚えたあとに本書を読むと理解が深まると思います。


どんな人におすすめ?

この本は次のような人におすすめです。

  • 定跡を外れると何を指せばいいか分からない人
  • 将棋ウォーズ初段を目指している人
  • 中盤の考え方を身につけたい人
  • 居飛車・振り飛車を問わず強くなりたい人

一方、将棋を始めたばかりの初心者には少し難しく感じるかもしれません。

まずは基本的な手筋を身につけ、その後に読むと理解しやすいと思います。


効果的な読み方

この本は一度読んで終わりではありません。

実戦で

「あの局面はどう指すべきだっただろう」

と思ったときに読み返すと、新しい発見があります。

私自身も定期的に読み返しながら、

実戦でどれだけ実践できているか確認しています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 『上達するヒント』は初心者でも読めますか?

読めないことはありませんが、将棋を始めたばかりの方には少し難しく感じる内容です。

本書は具体的な手順ではなく、「なぜその方針を選ぶのか」という考え方を学ぶ棋書です。そのため、基本的な手筋や囲いをある程度覚えてから読む方が理解しやすいでしょう。

個人的には、将棋ウォーズで1級~初段を目指している人に特におすすめです。


Q2. 『上達するヒント』は今でも通用しますか?

十分通用します。

本書で扱われているのは特定の戦法ではなく、局面判断や考え方です。

例えば、

  • 主戦場をどこにするか
  • 相手の攻めの速さをどう判断するか
  • 駒の働きをどう改善するか
  • 攻めるべきか待つべきか

といった内容は、現在の将棋でも重要な考え方です。

実際に私も、初段になった後に本書を読み、実戦で何度も役立つ場面がありました。発売から年数は経っていますが、今でも十分読む価値のある一冊だと思います。


Q3. 『ひと目の手筋』とどちらを先に読むべきですか?

先に『ひと目の手筋』を読むことをおすすめします。

『ひと目の手筋』では、将棋で頻繁に登場する基本的な手筋を学べます。

一方、『上達するヒント』では、その手筋を「どんな局面で使うべきか」という考え方を学びます。

まず手筋を身につけ、その後に本書を読むことで理解が深まりやすくなります。

『将棋・ひと目の手筋』レビュー|初段を目指すなら最初に読みたい手筋本


Q4. 初段を目指す人にもおすすめですか?

非常におすすめです。

初段を目指す段階では、手筋や詰将棋だけでなく、中盤の方針を立てる力も重要になります。

私自身、初段になった後に本書を読みましたが、

  • 相手に攻めがないなら囲いを発展させる
  • 一つの攻め方に固執せず、主戦場を切り替える
  • 攻め合いで負けそうなら、自陣を固めて反撃のチャンスを待つ

といった考え方は、その後の実戦で何度も役立ちました。

初段前後で伸び悩んでいる人には、特におすすめしたい棋書です。

結局買うべき?

私の評価は、

9.5点/10点です。

『上達するヒント』は、

定跡や手筋だけでは身につかない

「局面判断の感覚」

を学べる貴重な棋書です。

派手な手筋を覚えられる本ではありませんが、実戦で長く役立つ内容が詰まっています。

特に、

定跡が終わったあと何を指せばいいのか分からない人

には、自信を持っておすすめできる一冊です。

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