将棋を指していると、
「この局面で次に何を指せばいいんだろう?」
と悩むことはありませんか?
特に中盤になると、序盤のように定跡があるわけでもなく、終盤のように「詰みを探す」という明確な目的もありません。
私自身、将棋を指していて中盤で何をしたらいいのか分からなくなることが結構あります。
そこで今回は、羽生善治九段監修の『中終盤の力をつける次の一手』を実際に読んでみました。
結論からいうと、中盤・終盤の具体的な手筋を身につける次の一手問題集として、かなり良い本だと感じました。
ただし、少し注意したいのは、
「中盤の手筋を覚えること」と「中盤で何をすればいいのか分かること」は別
だということです。
この違いについても、実際に解いてみた感想を紹介します。
『中終盤の力をつける次の一手』はどんな本?
本書は『将棋世界』の「昇段コース 初・二・三段コース問題」から問題を収録した次の一手問題集です。
構成は、
- 中盤編:120問
- 終盤編:110問
- 合計:230問
となっています。
問題は三択形式になっているため、候補手を比較しながら解くことができます。
もともとの問題は有段者向けですが、三択になっていることで、級位者でも挑戦しやすい形式になっています。
私がこの本を読んだ理由
この本を読んだ最大の理由は、中盤力を鍛えたかったからです。
実戦では、
- 序盤は定跡通りに進められる
- 終盤は詰みや寄せを考えられる
- でも中盤になると何をすればいいのか分からない
ということがあります。
そこで、中盤で使える手筋を増やす目的で、この本を読んでみました。
ちなみに、私はこれまで『将棋・ひと目の手筋』などの手筋本も読んできました。
基本的な手筋を学ぶ本については、こちらの記事でも比較しています。
→ 『将棋・ひと目の手筋』レビュー|初段を目指すなら最初に読みたい手筋本
→ 将棋初心者におすすめの手筋本5選|初段を目指す私が実際に読んで比較
こうした基本的な手筋本とは、本書は少し性格が違います。
実際に解いてみた難易度
中盤編はそこまで難しくない
私が解いた感想としては、中盤編はそこまで難しくありませんでした。
1問あたりにかけた時間は、だいたい1分程度です。
三択形式なので、
「この手は相手にこう指される」
「この手では駒得にならない」
というように、一つずつ候補手を調べていけば、かなりの問題で正解できます。
そのため、三択形式の次の一手問題としては取り組みやすいと思います。
終盤編は中盤編より少し難しい
一方、終盤編は中盤編より少し難しいと感じました。
理由は、単純に「良さそうな手」を選ぶだけでは足りないからです。
例えば、
- 自玉は本当に安全なのか
- 相手玉に本当に詰みがあるのか
- 必至をかけられるのか
- 相手に反撃されたらどうなるのか
まで考える必要があります。
特に相手玉を詰ませる問題では、
「たぶん詰みそう」
ではなく、本当に詰んでいるのかを自力で最後まで確認する必要があります。
これは次の一手問題に限らず、終盤の問題集では基本的に同じです。
中盤編で学べるのは「具体的な手筋」
中盤編では、
- 駒得を狙う
- 成り込みを狙う
- 相手の駒を攻める
- 駒の働きを良くする
- 攻めにつながる手を選ぶ
といった、実戦的な手筋が中心です。
つまり、
「この局面なら、こういう手筋が使える」
という具体的な力を鍛える問題集です。
これは非常に重要な力です。
実戦では、相手もこちらの手筋を知っています。
そのため、本に出てくるような「必殺の手筋」がそのまま決まることは、実際にはそれほど多くありません。
相手も、その手筋にはまらないように指してくるからです。
しかし、だからといって手筋を覚える必要がないわけではありません。
自分が手筋を使うためにも、相手の手筋を受けるためにも、手筋を知っている必要があります。
以前書いた「初段になるために手筋はどれくらい重要?」という記事でも、私は手筋を初段を目指すうえで重要な勉強として考えています。
終盤編では「自玉の安全」と「相手玉の詰み」を読む
終盤編では、問題の性質が少し変わります。
特に重要なのが、
自玉の安全性を確認したうえで、相手玉をどう寄せるか
という考え方です。
例えば、相手玉を詰ませられそうだからといって、すぐに攻めていいとは限りません。
その前に、
「こちらの玉は詰まないのか?」
を確認する必要があります。
そのうえで、
- 相手玉を詰ませる
- 必至をかける
- 詰めろをかける
- 自玉を安全にする
といった手を選びます。
この部分は、実戦の終盤にもかなり直結すると思いました。
終盤力についてさらに勉強したい場合は、私が実際に読んだ『寄せの手筋200』や『詰めろ将棋』も参考になります。
→ 『寄せの手筋200』レビュー|初段を目指す人におすすめの終盤力を鍛える一冊
→ 『詰めろ将棋』レビュー|詰めろ感覚を鍛えたい人におすすめの一冊
また、終盤の「問題を解く力」ではなく、終盤で何を考えるかを学びたいなら、『勝つための終盤感覚』も性格が違う教材です。
→ 『勝つための終盤感覚』レビュー|終盤の考え方を体系的に学べる一冊
この本を読んで一番感じたこと
今回この本を読んで、一番強く感じたのが、
「手筋を知っていること」と「中盤で何をすればいいのか分かることは別」
ということです。
これは本書の欠点という意味ではありません。
むしろ、本書は具体的な手筋を身につける本として優れています。
問題を解くことで、
「こういう局面では駒得を狙える」
「ここでは成り込みを狙える」
「こういう形ならこの手筋がある」
という知識を増やすことができます。
しかし、実戦ではそもそも、
「今、この局面では何を目標にすればいいのか?」
という問題があります。
これは別の問題です。
「中盤で何をすればいいか」を学ぶなら別の本も必要
例えば中盤では、
- 相手の弱点を探す
- 自分の駒を改善する
- 攻める場所を決める
- 相手の攻めを消す
- 駒交換をする
- 位を取る
- 主戦場を決める
- 攻めを継続する
といった判断が必要になります。
これは「手筋を知っている」だけでは解決できません。
この点では、以前レビューした**『上達するヒント』**のほうが、今回の本とはかなり違った役割を持っています。
→ 『上達するヒント』レビュー|定跡が終わってから何を指せばいいのかが分かる一冊
『上達するヒント』は、具体的な手筋を覚えるというより、
「この局面で何を目指すのか」
という考え方を学ぶ本です。
実際、私のレビューでも『上達するヒント』を「何を指すかではなく、何を目指すかを学ぶ本」と位置づけています。
そのため、
『中終盤の力をつける次の一手』=具体的な手筋
『上達するヒント』=中盤の方針・考え方
というように分けて考えると分かりやすいでしょう。
『手筋の力 初級編』との違い
同じ三択形式の問題集として、『手筋の力 初級編』とも比較できます。
『手筋の力 初級編』も、実戦形式で手筋を使う力を鍛える本です。
ただし、本書は中盤編と終盤編に分かれているのが大きな特徴です。
そのため、
「中盤の手筋を勉強したい」
「終盤の読みを勉強したい」
というように、目的を分けて取り組みやすいところが良いと思いました。
手筋本を比較したい人は、
→ 将棋初心者におすすめの手筋本5選|初段を目指す私が実際に読んで比較
も参考になると思います。
初段を目指す人にもおすすめできる?
初段を目指す人にもおすすめできます。
特に、
- 手筋をある程度覚えている
- 次の一手問題が好き
- 中盤・終盤の実戦的な問題を解きたい
- 手筋を実戦で使えるようにしたい
- 終盤の読みを鍛えたい
という人には向いています。
一方で、まだ基本的な手筋をほとんど知らない場合は、先に基本手筋の本を読む方法もあります。
例えば、
『将棋・ひと目の手筋』
『将棋絶対手筋180』
『羽生の法則1』
などです。
これらについては、手筋本5選の記事でそれぞれの役割を比較しています。
私の評価は8点
私が実際に1周してみた評価は、
10点満点中8点
です。
特に良いと思ったのは、中盤編と終盤編に分かれていることです。
中盤の手筋と終盤の読みを別々に勉強できるので、学習目的を設定しやすいです。
問題数も、
- 中盤編:120問
- 終盤編:110問
と十分あります。
1問1分程度で考えれば、まとまった時間がなくても少しずつ進められます。
こんな人におすすめ
中盤の手筋を増やしたい人
「中盤で使える手筋の引き出しを増やしたい」という人には向いています。
三択形式の問題集が好きな人
候補手が3つあるため、完全に白紙の状態から最善手を探すより取り組みやすいです。
終盤の読みを鍛えたい人
終盤編では、自玉の安全を確認したうえで相手玉の詰みや必至を読む必要があります。
初段を目指している人
問題自体は有段者向けですが、三択形式なので級位者でも取り組みやすいと思います。
逆に、この本だけでは足りないと思う人
私が特に注意したいのは、
「中盤で何を指せばいいのか分からない」という問題を、この本だけで解決しようとしている人
です。
私自身、この本を読む目的がまさに「中盤力の強化」でした。
しかし、実際に読んでみると、
「中盤の具体的な手筋」は学べても、「中盤での方針の立て方」までは別に勉強する必要がある
と感じました。
この点では、『上達するヒント』のような本と組み合わせると役割が補完されます。
まとめ|中終盤の具体的な手筋を学ぶならおすすめ
『羽生善治監修 中終盤の力をつける次の一手』を私が実際に1周してみました。
中盤編はそれほど難しくなく、三択の候補手を一つずつ調べていけば正解できる問題が多いと感じました。
一方、終盤編は、
- 自玉の安全性
- 相手玉の詰み
- 必至
- 詰めろ
などまで読む必要があるため、中盤編より少し難しく感じました。
この本の一番良いところは、
「中盤編」と「終盤編」に分かれていること。
中盤と終盤を分けて勉強したい人にとって使いやすい構成です。
ただし、
「手筋を知ること」と「中盤で何をすればいいか分かること」は別です。
本書で具体的な手筋を身につけたうえで、『上達するヒント』のような本で中盤の方針や考え方を学ぶと、より効果的だと思います。
私自身の評価は8/10。
中盤・終盤の具体的な手筋を問題形式で学びたい人、特に初段を目指している人にはおすすめできる一冊です。

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