はじめに
「将棋が強くなるには、とにかくたくさん対局を指した方がいい。」
将棋を始めると、このようなアドバイスを受けることがよくあります。
確かに実戦は大切です。
しかし、私は初心者や級位者が初段を目指すのであれば、実戦より勉強を優先した方が効率よく強くなれると考えています。
これは机上の理論ではありません。
私自身が実際に経験したことです。
私は小学生の頃に棒銀くらいまでは覚えましたが、その後は長い間ほとんど将棋を指きませんでした。
大人になってから将棋YouTubeを見るようになり、
「もう一度将棋を始めたい」
と思うようになりました。
しかし、そのとき私はすぐに将棋ウォーズを始めませんでした。
まず取り組んだのは、
- 手筋
- 詰将棋
- 棋書
の勉強です。
実戦よりも圧倒的に勉強の時間の方が長かったと思います。
その後、十分に勉強してから将棋ウォーズを始めたところ、約1か月で初段になることができました。
もちろん、小学生の頃の経験が多少は役立っていたと思いますし、人によって上達のスピードは異なります。
それでも私は、
短期間で初段になれた最大の理由は、対局数ではなく、事前に知識を身につけていたことだと感じています。
この記事では、
- なぜ実戦より勉強が重要なのか
- 実戦はどのような役割なのか
- 初段を目指す人は何を勉強すべきなのか
について、私自身の経験を交えながらお話しします。
結論:初心者・級位者は実戦より勉強を優先した方がよい
最初に結論を書きます。
私は、
初心者や級位者が初段を目指すなら、実戦より勉強を優先した方が効率が良い
と考えています。
もちろん、
実戦が不要という意味ではありません。
しかし、
知識が不足している段階で何百局対局しても、
上達のスピードはそれほど速くありません。
逆に、
知識を身につけてから対局すると、
一局一局から得られるものが大きく変わります。
私はこの違いを実際に体験しました。
だからこそ、
初心者には
まず勉強すること
をおすすめしています。
なぜ実戦より勉強を優先すべきなのか
その理由は、
将棋の良い手の多くは、対局中に思いつくものではないからです。
将棋は「考えるゲーム」と言われます。
もちろん、それは間違いではありません。
しかし、
考えるためには
知識
が必要です。
例えば、
- 腹銀
- 垂れ歩
- 桂馬の活用
- 銀の割り打ち
- 美濃囲いの崩し方
これらを知らなければ、
対局中にどれだけ時間を使って考えても、
正解にたどり着くことは簡単ではありません。
つまり、
考えれば思いつくのではなく、知っているから候補手に挙がる
のです。
私は、
将棋の中盤以降の好手の多くは、
「ひらめき」
ではなく、
「知識を思い出している」
だけだと思っています。
だからこそ、
実戦よりも
まず知識を身につけることが重要なのです。
手筋は「覚える」のではなく「反射で出る」まで繰り返す
ここで一つ誤解してほしくないことがあります。
手筋は、
一度本を読んだから使えるようになるものではありません。
例えば
『将棋・ひと目の手筋』
を一周読んでも、
翌日からすべて使える人はいません。
私もそうでした。
対局中は、
「どこかで見た気がする」
では遅いのです。
理想は、
局面を見た瞬間に
「ここは腹銀だ」
「ここは垂れ歩だ」
と自然に候補手が浮かぶ状態です。
そのためには、
- 何度も読む
- 何度も解く
- 実戦で使う
この繰り返しが欠かせません。
だから私は、
手筋は暗記ではなく反射神経に近い技術
だと考えています。
私が実際に繰り返し読んで最も効果を感じたのが『将棋・ひと目の手筋』です。内容やおすすめポイントは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
実戦だけでは経験できる局面は意外と少ない
「実戦をたくさん指せば自然と強くなる。」
これは半分正しく、半分間違っていると私は考えています。
もちろん実戦経験は大切です。
しかし、実戦だけでは経験できる局面に偏りがあります。
例えば、美濃囲いの崩し方を覚えたいとします。
実戦でその経験をするためには、
- 相手が美濃囲いを採用する
- 終盤まで進む
- 攻める展開になる
- さらに正しい攻め方を指せる局面になる
という条件がそろわなければなりません。
100局指しても、そのような局面は数回しか訪れないかもしれません。
しかし棋書ならどうでしょうか。
1冊読むだけで、
- 美濃囲いへの基本的な攻め方
- 端攻めの考え方
- 玉頭攻めの形
- 攻めてはいけない形
などを短時間で学ぶことができます。
つまり、
実戦では数か月かかる経験を、勉強なら数時間で積めることがあるのです。
私はこの点が、勉強の最大のメリットだと思っています。
勉強とは「経験を圧縮すること」
私は勉強とは、
経験を圧縮する作業
だと考えています。
例えば100局対局したとしても、
- 腹銀
- 垂れ歩
- 必至
- 詰み
- 美濃囲い崩し
これらすべてを経験できるとは限りません。
一方で、棋書なら数百局分の典型局面を短時間で学べます。
しかも、それらはプロ棋士や著者が「重要な局面」を厳選してまとめてくれています。
つまり、自分で何百局も試行錯誤するより、はるかに効率よく知識を吸収できます。
だから私は、
実戦だけを繰り返すより、勉強で経験を先取りした方が上達は速いと考えています。
詰将棋も同じ考え方
この考え方は詰将棋にも当てはまります。
実戦では、詰みが現れる局面はそれほど多くありません。
しかも、いざ詰みがあっても、短時間で見つけるのは簡単ではありません。
一方、3手詰ならどうでしょうか。
100問解けば、100回詰みを読む経験ができます。
つまり、実戦ではなかなか経験できない「詰ます練習」を、短時間で何度も繰り返せるのです。
だから私は、初心者には長手数の詰将棋よりも、まず3手詰をおすすめしています。
私が初段を目指していた頃に取り組んでいた3手詰については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
寄せや囲い崩しも知識が重要
終盤になると、
「どうやって寄せればいいか分からない」
「美濃囲いが全然崩せない」
という悩みを持つ人は多いと思います。
しかし、これも実戦だけで身につけるのは効率が良くありません。
例えば、
- 頭金
- 腹銀
- 端攻め
- と金を使った寄せ
こうした寄せの基本は、知っているだけで勝率が大きく変わる場面があります。
また、美濃囲いには定番の崩し方があります。
これらは実戦中にゼロから思いつくのではなく、事前に知識として持っておくものです。
私も、寄せや囲い崩しを勉強したことで、終盤の迷いが少なくなりました。
寄せの基本を勉強したい方は、私が特におすすめしているこちらの棋書も参考にしてください。
また、美濃囲いを崩せずに困っている方は、こちらの記事も参考になると思います。
では、実戦は必要ないのか?
ここまで読むと、
「勉強だけしていれば強くなれるの?」
と思うかもしれません。
もちろん、そうではありません。
私は実戦にも、とても大切な役割があると考えています。
ただし、その役割は
「知識を身につけること」ではなく、「知識を使えるようにすること」です。
この違いが、とても重要です。
実戦の役割は「知識を身につけること」ではなく「知識を使えるようにすること」
ここまで、私は「初心者や級位者は実戦より勉強を優先した方がよい」と書いてきました。
しかし、これは決して実戦が不要という意味ではありません。
実戦には、勉強では得られない大切な役割があります。
それは、
勉強した知識を実際に使えるようにすることです。
例えば、『将棋・ひと目の手筋』で腹銀を覚えたとします。
本を読んだだけでは、
「腹銀という手筋がある」
という知識を得ただけです。
しかし、実戦で
「この局面は腹銀があるかもしれない」
と考え、実際に指してみることで、その知識は初めて自分の力になります。
成功すれば自信になりますし、失敗すれば
「なぜうまくいかなかったのか」
を調べればよいのです。
つまり、
勉強で知識を得る
↓
実戦で試す
↓
分からなかったことだけ勉強する
このサイクルを繰り返すことが、効率よく上達する近道だと私は考えています。
私はAI解析をほとんど使いませんでした
最近では、AIを使って対局を振り返ることが一般的になりました。
もちろん、AIは非常に優秀です。
しかし、私は初段になるまではAI解析をほとんど使いませんでした。
対局後にしていたことは、とてもシンプルです。
例えば、
- 棒銀の攻めがうまくいかなかった
- 石田流の攻め方が分からなかった
- 奇襲戦法に負けた
このようなときだけ、
棋書やインターネットで調べていました。
逆に言えば、毎局細かく評価値を確認したり、AIの最善手を覚えたりはしていません。
当時の私に必要だったのは、
知らない手筋や考え方を一つでも増やすことだったからです。
土台となる知識が少ないうちは、AIが示す最善手の意味を十分に理解できないこともあります。
だから私は、
まず基本を勉強し、その後にAIを活用する方が効率的だと考えています。
初心者・級位者におすすめの勉強と実戦の割合
「では、実際にはどれくらい勉強して、どれくらい対局すればよいのでしょうか。」
これは人によって違いますし、楽しみ方も人それぞれです。
ただ、「効率よく初段を目指す」という観点であれば、私は次のような割合をおすすめします。
| レベル | 勉強 | 実戦 |
|---|---|---|
| 初心者 | 8割 | 2割 |
| 級位者 | 7割 | 3割 |
| 初段前後 | 6割 | 4割 |
| 二段以上 | 5割 | 5割 |
これはあくまで私自身の経験に基づく目安です。
実戦をたくさん指すことが好きな人もいるでしょう。
それでも、初心者や級位者のうちは、対局数を増やすことより、知識を増やすことの方が上達につながると私は感じています。
よくある質問
将棋ウォーズだけで強くなれますか?
強くなることはできます。
ただし、私は効率はあまり良くないと思っています。
対局だけでは、手筋や寄せ、囲い崩しなどの知識を体系的に学ぶことが難しいからです。
対局で分からなかったことを勉強し、次の対局で試す。
この繰り返しの方が、上達は早いと感じています。
毎日たくさん対局した方がいいですか?
毎日対局すること自体は悪いことではありません。
ただし、同じ負け方を繰り返しているなら、一度立ち止まって勉強する時間を作ることをおすすめします。
例えば、
「今日は5局指した」
よりも、
「今日は新しい手筋を一つ覚えた」
という一日の方が、長期的には大きな成長につながることもあります。
AI解析は必須ですか?
初段を目指す段階では、必須ではないと思います。
私自身もほとんど使いませんでした。
もちろん、AIを使えば効率よく学べる人もいます。
ただ、まずは手筋や寄せなどの基本を身につけることを優先した方が、多くの人にとっては理解しやすいのではないでしょうか。
まとめ
「将棋は実戦が大切なのか、それとも勉強が大切なのか。」
私の答えは、
初心者や級位者が初段を目指すなら、まず勉強を優先するべきです。
その理由は、
- 良い手の多くは、対局中に思いつくものではなく、事前に学ぶものだから。
- 手筋は一度知れば終わりではなく、何度も繰り返して「見た瞬間に思い浮かぶ」レベルまで定着させる必要があるから。
- 実戦だけでは経験できる局面が限られ、知識を増やす効率があまり良くないから。
もちろん、実戦も必要です。
しかし、その役割は知識をゼロから生み出すことではなく、勉強した知識を試し、自分のものにすることだと私は考えています。
もし今、
「毎日将棋ウォーズを指しているのに、なかなか勝てない」
と感じているなら、一度対局数を少し減らして、その時間を勉強に充ててみてください。
手筋や詰将棋、寄せの勉強を続けることで、今まで見えなかった手が少しずつ見えるようになるはずです。
初段を目指す方におすすめの記事
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→ 本記事で紹介した勉強法を、実体験を交えて詳しく紹介しています。
手筋を勉強したい方へ
→ 私が最も効果を感じた棋書です。
詰将棋を始めたい方へ
→ 初心者でも取り組みやすい詰将棋を紹介しています。
終盤力を鍛えたい方へ
→ 初段を目指すなら覚えておきたい寄せの形を学べます。
美濃囲いを崩したい方へ
→ 実戦で役立つ基本的な攻め方をまとめています。
四間飛車を学びたい方へ
→ 四間飛車を指すなら読んでおきたい一冊です。

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